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有給休暇の年5日取得義務とは?内容や罰則、企業がとるべき対応について解説


ライフホールディングス
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こんにちは!ライフグループ 広報担当の内尾です!

今回は、2019年に大きな話題となった「有給休暇年5日取得義務」についてです!簡単に説明すると、企業は対象の労働者全員、年5日以上の有給を取らせなければいけないっということ。

しかし、企業側からすると…

  • 対象の労働者って?
  • 管理はどうやってやるのが良い?
  • 年5日取れなかったらどうなるの?

と様々な疑問が湧きますよね。

そこで今回は、有給休暇の年5日取得義務について詳しく解説していきます!まだ理解ができていない🌀という方は是非ご覧ください!

有給休暇の取得義務とは?

有給休暇の取得義務とは、2019年の労働基準法改正によって設けられた企業に対する義務で、企業は対象となる労働者全員に、年5日以上の有給休暇を取得させなければなりません。

この法改正は、時間外労働の上限規制や高度プロフェッショナル制度の創設などを中心とした「働き方改革」の一環として施行されました。

5日間の有給休暇取得義務化は、50%を下回る日本の有給休暇取得率を引き上げる目的で新設されています。

引用:厚生労働省「年次有給休暇の取得率等の推移(全国)

義務の内容

企業に義務付けられるたのは、「対象となる労働者全員に年5日以上の有給休暇を取得させること」です。

本来有給休暇は労働者本人の申請に基づいて取得されるものですが、1年の間に取得される有給休暇が5日に満たないと見込まれる労働者については、企業が有給休暇を取得させる必要があります。

取得が義務付けられる5日は、労働者が自主的に取得した有給休暇については、取得を義務付けられる5日にカウントして良いことになっていますので、労働者が自主的に取得した有給休暇と合わせて、5日以上を取得できるように対応することになります。

たとえば、本人の申請に基づいて取得した有給休暇が4日ある労働者については、企業は残りの1日を取得させれば問題ありません。

労働基準法第39条
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

労働基準法より

対象となる企業

大企業・中小企業を問わず、すべての企業が対象となっています。

対応できていない場合は、速やかに対策を講じましょう。

義務の対象となる労働者

企業が5日の年次有給休暇を取得させる義務を負うのは、一度に10日以上の年次有給休暇が付与される労働者になります。

年次有給休暇の付与日数は労働者の所定労働時間や日数、勤続年数によって異なり、付与日数が少ない労働者については義務の対象外となっています。

雇用形態に関係なく、有給休暇が10日以上付与されるパート・アルバイトも対象となるため注意が必要です。

たとえば週4日勤務するパートタイマーであれば、入社半年後に付与される年次有給休暇は7日で、一度に付与される有給休暇が10日を下回るため、有給取得義務の対象外になります。

しかし、同様に週4日勤務するパートタイマーが勤続3.5年を迎える場合、付与される有給休暇は10日となり、一度に付与される有給休暇が10日以上となるため、年5日の有給取得義務の対象となります。

同じ働き方をする労働者であっても勤続年数によって義務の対象となることがあるため、注意しましょう。

対象者ごとの有給取得状況を把握する

対象となる労働者が分からなければ、時季指定をすることもできません。

対象者を把握できていない場合、まずは対象となる労働者を把握し、対象者の有給取得状況を管理できる体制を整えましょう。

対象となる労働者が30人程度までであればエクセル等で管理が可能ですが、それ以上の規模になる場合は労務管理系のシステムを活用する方が効率的でしょう。

すでに何かしらのシステムを導入している場合は、利用しているシステムに有休管理簿が備わっているか確認しましょう。

いつまでに取得させる必要があるか?

この「1年間に5日以上の有給を取得させる義務」は、いつから1年間を計算すればよいのでしょうか?

1年間の起点となる日は、10日以上の有給休暇が付与された日になります。

年次有給休暇は1年に一度付与されるのが一般的ですので、年次有給休暇が付与されてから次年度の年次有給休暇が付与される日の前日までに5日以上の年次有給休暇を取得させる必要があります。

例えば2023年4月1日に入社した社員に対して、入社半年後の2023年10月1日に10日の有給休暇を付与した場合は、2024年9月30日までに5日以上の有給休暇を取得させる必要があります。

入社時に有給休暇を付与する場合

入社時に有給休暇を付与している場合、その日数が10日以上であれば、入社日から1年以内に5日の有給休暇を取得させる必要があります。

たとえば2023年4月1日に入社した社員に対して、入社当日に10日の有給休暇を付与した場合は、2024年3月31日までに5日以上の有給休暇を取得させる必要があります。

有給休暇の一部を前倒し付与する場合

入社から半年後に付与する義務がある有給休暇のうち、一部を前倒しして付与する場合は、付与日数の合計が10日以上となった日から1年間が対象期間になります。

たとえば2023年4月1日に入社した社員に対して、入社当日に3日の有給休暇を付与し、半年後の2023年10月1日に残りの7日を付与した場合は、2023年10月1日から1年間が対象となり、2024年9月30日までに5日間を取得させる必要があります。

起算日となる2023年10月1日までに取得した有給休暇を含めて取得日数を計算することができるため、2023年4月1日から2024年9月30日までの実質1年半の間に5日の有給休暇を取得させれば良いことになります。

違反した場合の罰則

有給休暇の取得義務に違反した場合の罰則は労働基準法第120条に規定されており、30万円以下の罰金となっています。

また、この罰則は労働者単位で定められた規定と解されており、仮に100人の労働者に対して有給休暇の取得義務を履行できていなかった場合、理論上30万円×100人=3,000万円の罰金が課せられる可能性もあります。

有給休暇を取得させる方法

企業が労働者に有給休暇を取得させる方法は、個別に時季指定する方法と計画的付与制度を導入する方法の2つがあります。

それぞれどのような方法なのかを解説します。

個別に時季指定する方法

時季指定とは、会社が決めた期間でのうち、指定した日数の有給休暇を強制的に取得させる方法です。

本来労働者の申請にもとづいて自由なタイミングで取得できる有給休暇ですが、労働者の意思に任せていると期間内に5日分の取得が困難であると認められる場合、会社が指定した期間で強制的に取得させることができます。

時季指定できる期間について明確な制限はありませんが、できる限り労働者の希望に沿った日付で取得できるようにする必要があるとされているので、特定の日付やあまりにも短い期間を指定するようなことは避けましょう。

時季指定を行うためには、下記の2点を就業規則に定める必要があります。

  1. 時季指定の対象となる労働者の範囲
  2. 時季指定の方法等

厚生労働省のリーフレットに規定例が掲載されているので、参考にしてください。

引用:年次有給休暇の時期指定リーフレット

計画的付与制度を導入する方法

有給休暇の計画的付与制度とは、労使協定を締結することで、事業場ごと、班・グループごと、個人ごとなど、様々な単位で強制的に有給休暇を取得させる方法です。

事業場全体ではゴールデンウィークの平日や年末年始を休業にするケース、個人単位では誕生日や結婚記念日などの記念日を休業とするケースなどがあります。

労使協定には、対象とする労働者の範囲、有給休暇の付与日や付与する期間等を定める必要があります。

中途採用を行っている場合、有給休暇の計画的付与日にはまだ有給休暇が付与されていない労働者が在籍していることがあるので、このような労働者の取り扱いをどうするのか、合わせて記載しておくと良いでしょう。

また、有給休暇の計画的付与が可能な日数には限度があり、労働者が自由に使える有給休暇を5日以上残す必要があります。

たとえば有給休暇が10日付与された労働者に対して、計画的付与の対象とできるのは最大で5日となります。

円滑な取得のための方法

有給休暇の取得をより円滑にするための対応をご紹介します。

自発的な取得を促す

取得が義務付けられている5日間の有給休暇は、労働者が自ら申請して取得した場合もカウントされるため、全員が自主的に5日以上取得してくれる場合は管理する手間も最小限で済みます。

有給休暇は本来労働者に認められた権利であり、希望する日に取得することが望ましいですが、周囲に配慮して取得を控える方もいます。

このような労働者が気兼ねなく有給休暇を取得できるように、会社から取得を促すメッセージを発信して取得を奨励しましょう。

半日有給休暇を導入する

取得義務のある5日の有給休暇は、半日単位で取得した有給休暇も含めて計算されます。

全日の休暇取得は難しくても、半日単位の有給休暇であれば柔軟に取得が可能です。

通院や行政サービスの利用など、労働者からのニーズも高い制度なので、導入していない企業は半日有給の仕組みを導入することで有給休暇取得を促進することが可能です。

半日有給に近い仕組みに時間単位の有給休暇がありますが、時間単位で取得した有給休暇は、取得が義務付けられている5日分にカウントしないため、注意が必要です。

まとめ

有給休暇の取得義務は、罰則も定められている重要な規定です。

管理コストが大きいだけでなく、基準日の考え方など細かい規定が設けられており、対応できているつもりで実は基準をクリアできていなかったということがないよう、内容を正しく理解しておきましょう。

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